Goodな生活

INTP型コンサルタントが好奇心の受け皿を探す

石川直樹(2018)『極北へ』

いつでも読み始められる。そして止められる。
気温や体温、暗さ、孤独さ、そういった過酷な環境の体験記であることに違いはないが、文章が清潔で、誇張がなく、頭でっかちな感じがない。淡々としているけれど、人温かみを感じる。

そういえば新卒の就職活動のとき、面接で「良い文章の条件を3つ答えて」という即興的な質問を受けた。その時は仲の良い先輩の書いたブログの記事を引き合いに出して答えたけれど、今なら上のような答えになるかもしれない。清潔さを説明するならば、英語にして人に伝えられそうな感じ、と言えるかもしれない。ある意味でスタンダード、個人的な経験を幅広く共有できるレベルにまで抽象化したもの。

「単独飛行」を読んだ時も似たような読後感を覚えた。

そして写真と文章だからこそ、脳内にイメージが広がる感じが心地良い。これが映像だったら、もちろん情報量は多いと思うが、視覚と時間を固定されてしまって、もっと自由に空想を楽しみたいけど楽しめない、みたいな状態になっていたかもしれない。