Goodな生活

経済学修士→環境コンサル→データサイエンス

読書

『中国共産党 暗黒の百年史』史実よりもフィクションが好きかもしれない

中国共産党 暗黒の百年史作者:石平飛鳥新社Amazon途中で読むのを止めてしまった。残酷な描写が続くことも理由の1つ。何よりも本の内容を消化して自分で打ち返せるものがなかった。アウトプットすることがなかった。なぜかを考えてみる。まずストーリーがない…

『原点 THE ORIGIN』一人の作家に語られる全共闘のリアル

原点 THE ORIGIN作者:安彦 良和,斉藤 光政岩波書店Amazonガンダムの背景にある思想はどんなものだろう、ぐらいの軽い気持ちで読み始めた。特に当事者の視点から語られる全共闘運動の実態、そして漫画家とアニメの表現方法の間で揺れる葛藤が印象が残った。 …

『惜別』偽善を勘で見抜く力こそが教養

惜別 (新潮文庫)作者:治, 太宰新潮社Amazon これまで知らなかった太宰 巻末の解説を読むと「昭和18年(1943年)内閣情報局と文学報国会の委嘱に応えて書いた国策小説」とある。太宰治はこれまで「走れメロス」や「人間失格」ぐらいしか読んだことがない。特…

『実力も運のうち 能力主義は正義か?』能力主義の根底にあるプロテスタンティズム

実力も運のうち 能力主義は正義か?作者:マイケル サンデル早川書房Amazon今年発売されたマイケル・サンデル教授の新書。原題は『Tyranny of Merit』、メリット(業績、功績、能力)による専制政治。邦題にある能力主義(メリトクラシー)とは生まれや身分で…

『知的生活の方法』読書"道"を極める人のために

大学生時に一度読んだことがあるのだが、当時は研究者の卵に向けて書かれたハウツー本という印象だった。しかし今回、改めて読んでみると、本書は読書”道”を究めた著者による入門書ではないかと思えた。道というのは、思想と作法の両方の要素を含む、という…

『小林・益川理論の証明 陰の主役Bファクトリーの腕力』

今年4月、著者の立花隆氏の訃報が流れた。ちょうどそのタイミングで先輩に勧めていただいた本である。本書は2008年ノーベル物理学賞を受賞した小林・益川両教授の提唱したクォーク*1の理論の証明のプロセスを追ったドキュメンタリー。証明の主役は、つくば市…

必要なのは自由ではなく制約ではないか『自由からの逃走』

個人の不安を取り除くためのプロテスタンティズム 中世社会には個人的な自由はなかった。階級や地理的な移動の機会はなく、職人や百姓は一定の場所、一定の価格で生産物を売る。ギルドの構成員は排他的な経済活動を行う。社会階層との結びつきの強い社会だっ…

冗談に溢れた人生とは

最近、「冗談」という言葉がタイトルに入っている2冊の本を読んだ。1冊目は物理学者リチャード・ファインマンの自伝『ご冗談でしょう、ファインマンさん』。2冊目は元PLAYBOY編集長島地勝彦の『人生は冗談の連続である』。どちらも含蓄に富む素晴らしい本だ…

『沖縄から貧困がなくならない本当の理由』

沖縄から貧困がなくならない本当の理由 (光文社新書)作者:樋口 耕太郎光文社Amazon 自尊心のなさこそが、沖縄が貧しい根本の原因であると、筆者は繰り返す。沖縄の貧困の理由を、県内の1次、2次産業比率の低さ、補助金への依存等の経済・社会構造ではなく、…

『キム・フィルビー』誰からも信用されながら誰も信用しなかった男

『KGBの男』に続き、同著者ベン・マッキンタイアーの『キム・フィルビー』を読んだ。英国MI6の一員であり、冷戦下ではMI6ワシントン支局長まで勤めたものの、長年にわたりソビエトのスパイだったことが明らかになった、キム・フィルビーのドキュメンタリーで…

沖縄の軍用地をどう捉えるか『沖縄現代史』『沖縄問題』

那覇市街に並ぶ軍用地の看板 昨年沖縄を訪れた際、初めて「軍用地」というものの存在を知った。那覇空港から那覇市街に向かう道路の脇に、軍用地取引の看板がいくつも並んでいた。それ以来、Yahooニュース等でも軍用地の話題を目にする度に一度勉強してみた…

【東京湾から600km】2泊3日で鳥島とアホウドリを見に行く

鳥島に行く 鳥島クルーズの特徴 わずか40分のため 11匹のねこが向かったのは 日本の国土を再発見する 参考 鳥島に行く 「鳥島を見に行くツアーがある」と聞いてすぐ思い出したのは『漂流の島』という本だった。鳥島は東京から南に約600kmに位置する無人島で…

東京で過ごす残りの日々

今週末、4年間住んだ家を退去することになった。今月初めから荷物の整理を始めた。メルカリとジモティを使って家具を処分し、本やアウトドア用品は実家と新居に送った。これでしばらく東京に住むことはないだろう。今のうちに東京を思う存分体験しておこうと…

『KGBの男』共産主義と自由主義の世界を行き来する

東西冷戦時代に実在した、旧ソビエトの諜報機関KGBのスパイ、オレーク・ゴルジエフスキーの実話。KGBのスパイでありながら、母国の共産主義体制のあり方に疑問を持ち、英国MI6の二重スパイとなる。このドキュメンタリーは、一人のスパイの人生を通し、我々は…

飢餓感・渇望感を伴う読書

1月に引っ越すことが決まったため、少しずつ物を捨て、荷造りを始めた。家具は売ったり誰かに上げたりして処分すればいい。問題は本。とりあえず段ボールに詰め始め、そういや今の家に越してきてから3年半でほとんど読まなかったものもあるなあと気づいた。…

ゆたかさとは有限であり共有できること『モモ』

モモ (岩波少年文庫)作者:ミヒャエル・エンデ,大島 かおり発売日: 2017/07/20メディア: Kindle版 お世話になった先輩が愛読書だと語っていたのを聞き、読んでみることにした。小学校のときからこの本の存在自体は知っていたものの、なかなか読む機会がないま…

『紫禁城の黄昏』を読んで

紫禁城の黄昏―完訳 (上)作者:R.F.ジョンストン発売日: 2005/03/01メディア: 単行本紫禁城の黄昏―完訳 (下)作者:R.F.ジョンストン発売日: 2005/03/01メディア: 単行本 読んだきっかけ 清朝の最後の皇帝溥儀の生涯を描いた映画、『ラストエンペラー』の原作。…

『黒部の太陽』高度経済成長期を支えた難工事の跡を訪ねる

黒部の太陽作者:木本 正次信濃毎日新聞社Amazon2020年9月、立山登山の道中で黒部ダムを訪れたこと。登山後に読んだため、具体的な地理のイメージをもって読むことができた。当時(1956年着工)の国内の電力需要のひっ迫度合いと、黒部ダム建設の経緯が説明さ…

『モサド、その真実 世界最強のイスラエル諜報機関』を読んで

モサド、その真実 世界最強のイスラエル諜報機関 (集英社文庫)作者:落合 信彦発売日: 1984/09/20メディア: 文庫 きっかけ 映画『ミュンヘン』を観たこと。先日天満橋の古本屋で100円で購入。 メモ モサドが指導者によって濫用された例はない。民主主義政治が…

闘争への内なる欲望を感じる『沈まぬ太陽』

沈まぬ太陽(一~五) 合本版作者:山崎 豊子発売日: 2015/03/20メディア: Kindle版 きっかけ 先輩と飲みに行ったときに勧められてkindle版を購入。初めて読む山崎豊子作品。 感想 第一、二巻「アフリカ篇」はかなり楽しく読めた。第三巻「御巣鷹山篇」の中盤…

吃音について思うこと

吃音: 伝えられないもどかしさ作者:近藤 雄生発売日: 2019/01/31メディア: 単行本(ソフトカバー) 先日数年振りに再会した大学の同級生にこの本を勧められた。彼は昨年度会社を辞め、現在言語聴覚士を目指し学校に通っているらしい。この本は彼のキャリアチ…

『砂の女』を読んで

砂の女 (新潮文庫)作者:公房, 安部メディア: 文庫先輩に勧められたもの。安部公房は高校生のときの現代文の教科書で読んだ「赤い繭」以来。 砂の不毛は、ふつう考えられているように、単なる乾燥のせいではなく、その絶えざる流動によって、いかなる生物をも…

米大統領選の観戦マニュアル『アメリカ民主党の崩壊2001-2020』

アメリカ民主党の崩壊2001-2020作者:渡辺 惣樹発売日: 2019/12/24メディア: 単行本2020年2月、先輩に勧められてKindle版を購入。 オバマ新政権は、イラク戦争は成功だったとする解釈を前提にした外交を開始した。それがヒラリー外交(アラブの春外交)である…

『暇と退屈の倫理学』自分のやりたいことは何か

暇と退屈の倫理学 増補新版 (homo Viator)作者:國分 功一郎発売日: 2015/03/07メディア: 単行本学部時代の恩師にずっと前に勧められたもの。ようやく去年購入し、本棚に積読になっていた。3月の第4週目からテレワークが始まった。通勤のためスーツに着替えた…

『中国経済講義』を読んで

中国経済講義-統計の信頼性から成長のゆくえまで (中公新書)作者:梶谷 懐発売日: 2018/09/19メディア: 新書2019年3月に上海に出張に行き、帰国後中国関連の書籍何冊か購入。 メモ GDP統計、不動産バブル、格差、共産党体制とイノベーションなど幅広いトピッ…

利益団体と政治家の協調メカニズムを考える『労働政治ー戦後政治のなかの労働組合』

酒の席で労働組合の話題になり、勧められたもの。 少数の特殊利益団体が、大多数の一般市民の犠牲の上に利益を享受すると問題視(ブキャナン、オルソン)。一般市民は損得(コストと利益)計算で合理的に行動(フリーライダーの存在による集合行為問題)。 …

『EBPMの経済学』を読んで

EBPMの経済学: エビデンスを重視した政策立案発売日: 2020/02/29メディア: 単行本冒頭の総説の部分のみ読んだ。日本でEBPMの議論が盛り上がってきた背景を知る。EBPMを進めることの良し悪しはさておき、仕事で統計学や計量経済学を使う機会が増えそうなのは…