2021年に買った新書でずっと積読していたもの。スーパーカーの博物館でランボルギーニ製のトラクターを見つけ、この本を思い出した。
これは1965年のLamborghini Tractor 2Rというものらしく、イタリア人ランボルギーニはトラクターの製造販売やエアコン事業で成功を収め、1966年にミウラを発表する

しかし日本以外でトラクターを見たことがない。タイ、インド、アフリカでも水田や畑は見ているはずだが、トラクターがあった記憶がない。トラクターがあることがいわゆる日本らしさの風景になっているのかもしれない。
筆者を検索して分かったが、「人類堆肥化計画」で何度も引用されていた「分解の哲学」の作者と同じだった。とするとトラクターは筆者のサブワーク、というかスピンオフ的なものなのか。テーマなのか書き方なのか、トラクターだけを専門にしている人が書いたようには思えなかった。
第1章 誕生ー革新主義時代の中で
- 厩舎の仕事から農民を解放したことは、トラクターの小さくない貢献といえよう。ただし、家畜の糞尿を肥料にできなくなるのは大きな欠点であった。とくに、藁や木屑と一緒に発酵させて、養分豊富な堆肥を作れない。それゆえ、他所から肥料を購入せねばならない。(中略)トラクターと化学肥料は切り離すことのできないパートナーなのである。
- 土壌は空隙があって、水を溜めやすく、微生物が棲みやすい環境であると肥沃になる。空隙を含むふかふかの状態の土壌構造をトラクターはそれを潰し、土壌から肥沃さ、つまり生命力を奪ってしまう恐れがある。
- 特に農村では内燃機関の飛んだ火花が干し草や藁に燃え移るという問題も生じていた。
第2章 トラクター王国アメリカー量産体制の確立
- 兄弟のような馬との別れは子供にとってはつらかっただろう
- ダストボウルとは砂塵の器という意味である。(略)化学肥料の多投とトラクターの土壌圧縮によって土壌の団粒構造が失われ、さらさらの砂塵になり、それが強い風に煽られて空気中に舞い、空を覆った。
第3章 革命と戦争の牽引ーソ独英での展開
- トラクターと戦車はいわば双生児であり、ジーキルとハイド氏のようにドッペルゲンガー(二重人格)の機械だったといえよう。
- 1960年代に、世界で初めて四輪駆動のF1カー「ファーガソンP99」を設計した。興味深いことに、ここには彼の制作したトラクターの変速機の技術が応用されている。
第4章 冷戦時代の飛躍と限界ー各国の諸相
- ランボルギーニが高級車メーカーに変貌を遂げるのは、トラクターで富を築き、高級車のコレクターになったからだ。
- ガーナに限らず、半乾燥の熱帯地域にトラクターを導入するにあたって重要なのは、トラクター耕耘がもたらす土壌侵食の危険性である。
終章 機械が変えた歴史の土壌
- 土の世界に魅惑されてきたわたしたちが農業の全自動化で失うものは小さくない


