チェーンソーによる伐木等の業務に関する特別教育を受講した際に印象に残った点を書きます。昨年に参加した登山道整備プログラムでは木道の整備にチェーンソーが不可欠だと知り、今後資格が必要になる場面があろうかと思い、受講しました。講習は3日間あり、学科と実技がそれぞれ9時間分あります。
講習1日目 学科
午前と午後にそれぞれ3時間の学科講義が行われました。配布済みテキストと、スライド、DVDの投影資料を用いながら、伐倒や退避の方法、チェーンソーの構造について学びました。特に印象に残ったポイントは以下の通りです。
- 林業はとにかく危険。チェーンソーを使用する際の労災事故が多発しており、講師の方の周りでも何人かの死亡事故があったと聞きました。10m弱の木が倒れた際に人間に当たると即死する危険性があるそうです。後継者問題に悩む事業者が多く、それはお金が問題でなく、危険な作業であることが原因だと分かりました。
- チェーンソーは内燃機関の構造を学ぶ題材としてふさわしいです。シリンダーの模型を使用し、吸気・圧縮・爆発・燃焼・排気がどのように行われるかを学びました。また、バイクに乗る人には当たり前かもしれませんが、2サイクルと4サイクルエンジンの違いについても知りました。
- 講師の方の話が面白く、例えば講習にプライベートな話を盛り込むことで興味を惹きつけられる場面が多々ありました。私も仕事柄講習を提供することが少なくありませんが、参考になる点がありました。
講習2日目 学科+実技
午前は振動障害、関係法令に関する座学を受けました。午後は部屋を移動し、5、6人の班に分かれてチェーンソーのチェーン交換とやすりを使った目立てを行いました。実際にチェーンソーを使い、学んだ工程を正しくなぞれるように繰り返し練習します。
講習3日目 実技
講習3日目は野外での実技でした。昨日同様班に分かれ、玉切り(上・下)、出会い切り、箱切り、突っ込み切り、受け口切り、追い口切り、など様々な切り方、木を切って伐倒する練習を行いました。一人ずつ実技が終わると、講師の先生に簡単にフィードバックがもらえます。特に印象が残っているのは、
- 玉切りの際は無理に力を入れず、チェーンソーの自重を利用して落とすこと
- 追い口切りでは、先の刃が下がりがちになるため、地面と平行になるように切ること
時間が余った場合、希望者は繰り返し実技を行うことができました。なお、木くずが体全体に降り注ぐため、汚れてもいい靴やナイロン素材の服を着用することをおすすめします。
講習終了後には、空師の熊倉純一さんのビデオを観賞し、非常に面白かったです。
講習を終えて
3日間の講習を無事終えると「労働安全衛生法による特別教育修了証」がもらえます。一応資格を取ることができましたが、チェーンソーをきちんと使いこなせるまでには、まだまだ実践経験を積まないといけないません。また今回の講習では材木を平地に固定して切りましたが、実際に山の中で作業する場合は地面に傾斜があり踏ん張りにくく、また現場までの行き帰りの山道で体力を奪われもするので、そういった状況で扱えるようになるためには基礎技術を上げる必要があります