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ポワソンの少数の法則

東京大学出版『統計学入門』第6章の学習メモ。ポワソンの少数の法則(law of small numbers)について。別名ポワソンの極限定理とも呼ばれる。

定義

ポワソンの少数の法則は、二項分布の密度関数の極限をとると、ポワソン分布の密度関数に収束する


 {
\begin{eqnarray}
\lim_{np = λ,n \to \infty} {}_n \mathrm{C}_x p^x (1-p)^{n-x} = \frac{λ^x}{x!}\mathrm{e}^{-λ}\tag{1}
\end{eqnarray}
}


ポワソン分布は単位時間あたりの事象の発生確率の平均λが与えられたときの、事象の発生確率を求めるために使われる。

(1)の左辺はnp=λとした場合のnの極限であることに注意したい。λは定数(パラメータ)なので、nが大きくなるとpは小さくなる。

λnpはそれぞれ何を意味するのか。

  • λは単位時間や単位回数あたりの事象の発生確率の期待値(平均)。事象とは、例えば1時間あたりの地震の発生回数等。
  • npはそれぞれ二項分布における試行回数と事象の発生確率であり、npは二項分布の期待値(平均)。

二項分布はnpの2つのパラメータで規定されるのに対し、ポワソン分布は1つのパラメータλによって規定される。

証明

(1)の左辺を展開すると、


 {
\begin{eqnarray}
\lim_{np = λ,n \to \infty} {}_n \mathrm{C}_x p^x (1-p)^{n-x} &=& \lim_{np = λ,n \to \infty} \frac{n!}{x!(n-x)!} p^x (1-p)^{n-x} \\
&=& \lim_{np = λ,n \to \infty} \frac{n!}{x!(n-x)!} \left(\frac{λ}{n}\right)^x \left(1 - \frac{λ}{n}\right)^{n-x} \\
&=& \lim_{np = λ,n \to \infty} \frac{n}{n} \cdot \frac{n-1}{n} \cdots \frac{n-x+1}{n} \cdot \frac{1}{x!} λ^x \left(1 - \frac{λ}{n}\right)^{n-x} \\
&=& \frac{λ^x}{x!}\mathrm{e}^{-λ}  \tag{2}
\end{eqnarray}
}

最後の等号では、nが無限大となり、\frac{1}{x!}以外の分数部分はすべて1になりキャンセルアウトされる。
また、指数関数の極限の性質を用いている。

少数の法則の意味

少数とは、発生確率は小さい、つまり滅多に起こらない事象という意味である。『統計学入門』によると、初めてポワソン分布が用いられたのは「馬に蹴られて死んだ兵士の数」を見積もるためであり、観測単位(軍団の数)あたりの死んだ兵士の数の期待値が、λ=0.61のポワソン分布にあてはまった。試行回数は大きいものの、成功確率の小さな事象の期待値はポワソン分布で近似できる。ただし、発生確率の低い事象の発生件数がポワソン分布に従う、と解釈するのは間違いである。単位時間当たりの発生件数の多い、つまりλが十分に大きなポワソン分布も存在しうる。

参考文献

統計学入門 (基礎統計学Ⅰ)

統計学入門 (基礎統計学Ⅰ)

  • 発売日: 1991/07/09
  • メディア: 単行本