淡路他(2009)「データ同化」の練習問題を解いてみました。
練習問題1.1
[i]
推定値は以下の式で表され、バイアスをもつ。
(a)
推定値の誤差分散は、以下のように表される。の誤差相関が0の仮定を用いた。
(2)を最小にするを求める。(3)をについて解くと、
最適な係数が求まる。
(1)よりのバイアスはなので、これに(4)を代入すると具体的なバイアスが求まる。
(b)
(4)を(2)に代入すると、最適推定値の誤差分散が求まる。
本文(1.11)式は
なので(5)と(6)の差分を計算すると、正の値になることが分かる。つまりはバイアスを持つ推定値を用いて作った推定値であるため、そうではない場合に比べて誤差分散が大きくなる。
[ii]
の誤差に相関がある(相関係数は)場合の最適推定値は、
(a)
相関係数の定義より
(7)の誤差分散は
(9)をで微分して0と置く。
(10)を解くと
(11)を(7)に代入すると最適推定値が得られ、
(11)を(9)に代入すると、誤差分散が得られる。
(b)
のとき、となり、のとき、となりいずれも相関を考慮しない場合の誤差分散よりも値が大きくなる。
誤差に関する不偏性(バイアス0)と無相関の仮定をリラックスした場合の推定値に関する問題。一変数なので丁寧に式展開すれば特段問題ない気がする。回帰分析を勉強したときによくやったような誤差項の仮定と推定量の話とよく似ている。
練習問題1.2
(1.20)の条件付き確率は(1)のように表すことができる。
(1.20)の分子を、2変数が正規分布に従う場合の条件付き密度関数を使って表すことができる。
分子の確率密度関数は
(1)の分子は(2),(3)を用いて、
(4)の2つ目の指数関数はとパラメータのみから構成される定数であり、の関数を考えるときは無視する。
(1),(4)より(1)の分母は
ガウス積分の公式(6)を用いて
(5)の最後の式は以下のように表せる。
(4),(7)より
(8)は平均、分散の正規分布の密度関数と同じ形になることが分かる。これで(1.20)の式を導出できる。
これは間違っているかもしれません。(4)の式変形でどうしても不要な項が出てきてしまい、等式()だと成立しないため比例()で無理矢理つじつまを合わせました。密度関数の性質が関係してそうだと考え、積分したら1になるかどうか試したのですがよく分からず、消化不良です。
以下のページを参考にしました。
練習問題1.3
(1.21)、(1.22)式を使って(1.23)式を導出する。
最後の式展開は二項目がゼロになることを用いた。
練習問題2.1
(2.16)の導出
解析誤差共分散行列(本文(2.9))を以下のように変形する。
本文(2.12)を0とおく(の対角成分(解析誤差分散)の最小化問題を解く)と、
(2)を(1)に代入すると(2.16)を導出できる。
(2.15)の導出
重み行列は、本文(2.14)と付録(A.11)の逆行列補題を用い、以下のように変形する
(4)を(1)に代入して、付録(A.12)の逆行列補題を用いて式変形すると、
(5)の逆行列をとると、(2.15)を導出することができる。
難しい式変形は付録の補題に頼りました。