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【統計学用語】Estimand, Eatimator, Estimatesの違い

用語の定義

  • Estimand (推定対象):関心のあるパラメータ
  • Estimator(推定量):Estimandを導出するためのアルゴリズム
  • Estimates(推定値):Estimatorの出力値

OLSにおけるEstimand, Estimator, Estimates

単回帰を最小二乗法(OLS)で推定する場合のEstimand, Estimator, Estimatesの違いを下表に整理します。


\begin{eqnarray}
Y = α + βX_i + e_i \tag{1} 
\end{eqnarray}

ここで関心のあるパラメータ(推定対象)はβだとします。

用語
表記
標本対応
Estimand \, \, \,β \,\, \, \,\, \frac{Cov[X_i,Y_i]}{Var[X_i]} \tag{2}
Estimator \, \, \,\hat{β}\,\, \, \,\, \frac{\sum^n_{i=1}(X_i - \bar{X})(Y_i - \bar{Y})}{\sum^n_{i=1}(X_i - \bar{X})^2} \tag{3}
Estimates
-
(3)を観察データを使って計算したもの

標本対応(sample analog)とは、母集団で定義されたパラメータを、標本(観察データ)において満たすような統計量を指します。

(3)の分子と分母はそれぞれ標本共分散と標本分散であり、(2)の分子の母集団の共分散、分母の母集団の分散の推定量です。すなわちEstimator(推定量)は確率変数です。

Estimates(推定値)は観察データを用いてEstimator(推定量)を計算したものです。Estimatesは実数の形をとり、確率変数ではありません。

参考文献

What If 勉強会のチャットで共有いただいた資料です。3用語の定義はこの資料を参考にしています。
diff.healthpolicydatascience.org

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