今年の7月、雲の平小屋に向かう前に太郎平小屋に宿泊した時に売店で見つけた本。下山後にAmazonで購入した。
薬師沢小屋は山小屋ではあるが、渓流に面しており、すぐ近くに吊り橋があるため、写真だけ見るとどこかのキャンプ場のような印象を覚える。入り口近くで水を汲んだ。釣具を携えた方、5本指ソックスのような珍しい登山靴(クライミングシューズ)を履いた玄人、カップル、いろんな人が小屋の前の足場の上で休憩したことを覚えている。この足組も小屋番の方によって建てられたものだったのかもしれない。イワナは見つけられなかった。
一度山小屋で働いてみたいとは前々から思っていたが、「逃げ場のない閉鎖社会なので、下界以上のコミュニケーションが必要となってくる」と書かれているのを読み、自然を相手にするタフさももちろん必要であるが、結局求めらるのは人間とのストレスが一番の悩みなのだろうと察した。車や電車の音がしないところ、自分以外に何もない場所、広がりのある空間、そういうものを求めて山に来ているのに、人とのやりとりを気を揉む、そういったことに耐えられる自信がない。身勝手な意見ではあるが。
以下、読んでいて気になった箇所
マスター曰く、遺体の捜索は不思議なもので、親族や近しいものが探すと出てくることがあるという。
愛知大学の遭難事故にしても、最後の一人を探し出したのは学生の父親だった。遭難発生から286日目、10月14日の最終日だった。
秋の山小屋の野菜フェアの始まりは、今まで使っていた缶詰、乾き物をストップし、野菜たっぷりのメニューに変更する。
山小屋でやけに野菜をふんだんに使ったメニューだったらそれは食料余り。逆に缶詰、乾き物が多ければそれは食糧難。この食料調整が悩みどころ。
北アルプスは造山構造が複雑で、近隣所といえどまるで土地の持つ雰囲気が違う。雲の平はかつて自然ダム湖の底であり、その後20-10万年前に雲の平火山が溶岩を噴出、
ダム湖の底だった砂利層をコーティングした。溶岩でコーティングされなかった部分は、後に侵食によって削られ、今の台地状態になった。そう思って風景を眺めると、雲の平にゴロゴロ転がる黒い石も、溶岩台地に凛と揺れる高山の花々にも長い悠久の物語を思わずにはいられない。
