宇宙関連技術のプロジェクトに関わった経験から、手に取った本。プロジェクトの開始前ではなく、一区切りついた段階で読むと、「ああ、そういうことだったのか」と腑に落ちる部分が多い。第4章は専門性が高く読むのを断念。プロジェクトマネジメントの観点からも示唆に富む読み物。わからないことは次に専門家と話す機会があったときの質問リストにする。
以下、印象に残った箇所のメモ。
第1章 超小型衛星ってどんなもの
- 300トンから450トンのロケットのうち、大半は燃料が詰まっており、人工衛星が載せられるのは先端の数トン程度
- 放送衛星(静止衛星)は赤道上空約36,000kmを横に周る軌道であり、多くの地球観測衛星は高度600-800km程度で極軌道であり縦に周る。高度が低いのはカメラの解像度が高いから。低すぎると空気抵抗が大きくなり減速し、遠心力が弱くなり大気圏に突入してしまう。
- JAXAが無料相乗り打ち上げの機会を国内の大学に提供しているが、審査があり、限られた数の衛星だけが打ち上げられる
第3章 環境をととのえよう
- 市販の民生品を宇宙で使用する場合、壊れた情報が流れるとイメージダウンになるため、メーカーからは宇宙で使って欲しくないと言われる。
→今でもそうなのか?むしろ宣伝機会になるのでは。
- 無線従事者の免許と無線局免許が必要。ともに総務省の管轄。電波法により、衛星から地上局へのダウンリンク、地上局から衛星へのアップリンクに使える周波数が決められており、一つの衛星に割り当てられるのは周波数の小数点第3位のMHz帯。これを守らないと他の人工衛星や地上局と混線する。
第4章 人工衛星の設計・開発の基本要素
- 宇宙デブリ対策のため、運用を終えた衛星は25年以内に軌道離脱(デオービット)させるという国際的な取り決めがあり、日本ではこれを満たさない衛星は打ち上げができない。超小型衛星の場合は大気圏に再突入させて燃え尽きさせるのがベストかつ唯一の方法。