Goodな生活

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人工史観の小説『団塊の世代』

成田悠輔氏のYouTubeで紹介されていて気になった本。「団塊の世代」という呼称はこの小説が由来らしい。国の成長や景気を考えるとき、その国の人口構成によって大部分が説明される。当たり前と言えば当たり前だが、この大前提に立って初めて意味のある施策を論じることができる。

「社会の中年化を見落としていたからだ」(中略)
人間の趣向や価値観は、本人が意識するか否かにかかわらず、肉体的条件と社会的立場によって変化するものだ。そして社会全体のムードも、最も大きな影響力を持つ世代の年齢層によって変わって行くものなのである。

1947~49年に生まれた団塊の世代は現在72~75歳。この小説の書かれた1990年代には中年層(ミドル)を構成した。日本の人口ピラミッドのボリュームゾーンを占め続けている。幼少期から競争原理に揉まれ、自らが中産階級だと意識し、やがて過剰な労働力(コスト)として人員整理の対象になっていく様が描かれている。

結局日本社会全体のムードは団塊の世代の価値観なのだろうか。何か新しいもの、ハングリーなものに出会うには、ずっと日本にいてはいけないのかもしれない。

それに抗うというよりも受け入れていくような諦観が作者にはあるのかもしれない。人口史観と言えば大学生のときに読んだ森嶋道夫の「なぜ日本は没落するのか」を思い出した。