Goodな生活

経済学→環境コンサル→データサイエンティスト

バイオリンを1年間練習して結婚式で弾いた

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2020年12月に「ニューシネマパラダイス」を弾こうと一念発起してバイオリンの練習を始めました。そして約1年後の2021年12月、せっかくなら何か人前で弾く機会がほしいと思い、自分の結婚式で演奏しました。1年間(ムラはあったものの)それなりに練習を続けることができて良かったとも思うし、正直言うともっと上達したかったという悔しさもあります。せっかくなので1年間の練習を振り返り、記録しておこうと思います。

準備編

楽器・付属品

バイオリンは吉祥寺のシャコンヌさんでレンタルしました。レンタル代は下記リンク先に記載されていますが、月額6,000円でバイオリン本体と弓、ケースが含まれます。レンタル期間が長くなるにつれて、代金が徐々に安くなり、月3,600円まで下がります。
www.chaconne.info

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レンタルしたバイオリン


初期費用として支払ったのはレンタル代(2か月分)11,400円、保証金(レンタル代2か月分相当)11,400円、松ヤニ1,200円の合計24,000円です。後から自宅で練習用の消音器を1,800円で購入しました。消音器はレッスンを受けた先生に金属をゴムでカバーしたタイプのものを勧められこちらを購入しました。

www.amazon.co.jp

チューナーはスマホのアプリを使ったので無料で済みました。

Simply Tuner - バイオリン、チェロ、ビオラ

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  • Shenzhen Mango Future Technology Co., Ltd.
  • ミュージック
  • 無料
apps.apple.com

練習場所

音楽スタジオ、多目的ルーム等、色んな場所を試し、自分に合った場所を見つけました。消音器を買ってからは自宅でも練習しましたが、基本外で練習しました。場所選びのポイントは1.予約のしやすさ、2.防音性、3.鏡の設置でした。平日は仕事が終わる時間が不規則なため、なかなか決まった時間に練習することができませんでした。なるべく当日予約でも部屋が取れるような場所を探したところ、自宅近くの多目的ルーム(800円/h)をよく利用しました。防音性も大事で、音楽用のスタジオではない場合、変に音が響いて(よく聞こえて)しまいます。お風呂で歌を歌うとうまく聞こえるような感覚です。雑音や音程のミスをきちんと聞き分けるためも音が響かない部屋で練習することが大事です。最後に鏡です。特に最初の頃は自分のフォームを鏡で確認しながらでないとまっすぐボウイングができません。この点でカラオケは予約がしやすく、防音性もあったのですが、練習場所としては向きませんでした。

楽譜

基礎練習のため「鈴木バイオリン」の1巻を購入しました。結局15の練習曲のすべてを練習することはできませんでした。

YouTubeでひとみ先生というバイオリン講師の方が動画を上げており、こちらも非常に参考になりました。
www.youtube.com

「ニューシネマパラダイス」の楽譜は下記の市販のものを3,300円で購入しました。ピアノの伴奏とバイオリンのパートの楽譜が含まれてます。

とこれまで「ニューシネマパラダイス」とだけ書いていましたが、この映画のサウンドトラックには23曲が含まれており、そのうち「Nuovo Cinema Paradiso」と「Tema D'amore (Love Theme)」のメドレーが上記の楽譜になっておりました。これだけでも良かったのですが、私はどうしても「Maturità」「Infanzia e Maturità」も弾きたかったため、こちらの箇所のみWebでピアノの有料楽譜を買いました(1,000円ぐらい)。本番では「Nuovo Cinema Paradiso」→「Infanzia e Maturità」→「Tema D'amore (Love Theme)」という良いとこどりのメドレーを構成して弾きました。

レッスン

練習を始めて間もない頃は何度かグループ練習をしていましたが、途中から個人練習になりました。しかしどうも独学での上達に限界を感じ、2021年8月からオンラインレッスンの受講を開始しました。週1回30分のレッスンで月謝は9,000円でした。先生にはSkypeを使って音やフォームを指摘してもらい、楽譜の運指も書いてもらいました。

練習の振り返り

最終的な目標は「ニューシネマパラダイス」を弾くことですが、まずは鈴木バイオリン1巻を練習することにしました。結局半分までしか進みませんでしたが、当初は1年あれば十分こなせるだろうと甘い考えでした。練習時間は1回につき1時間または30分でした。スタジオによっては1時間単位でしか予約できないところがあります。結果論ですがなかなか1時間集中するのは難しいので、こまめに時間を区切ってやった方がいい気がします。

2020年12月(グループ練習4h,個人練習7h)

一番練習が楽しかった時期。左肩の上で小動物のように吠える?楽器のパワフルさに驚き、町ゆく人の中に楽器ケースを背負った人を見ると妙に親近感を感じたりしていた。個人練習は自宅近くの色んな音楽スタジオを予約して試した。毎回の練習でビデオを撮った。とりあえず鈴木バイオリン1曲目の「きらきら星」から始めてみる。

2021年1月(グループ練習2h,個人練習1h)

帰省のためか練習のペースが落ちる。5つほど音楽スタジオを試したところ、安くて雰囲気の良いところが見つかったため回数券を買う。引き続き鈴木バイオリン1曲目の「きらきら星」。

2021年2月(個人練習1h)

なかなかやる気が出なかった。バイオリンの練習をしていると無性にギターが弾きたくなり、ギターの練習を始めてしまった。相変わらず「きらきら星」から進捗なし。

2021年3月(個人練1h)

引っ越しのタイミングとも重なり、先月まで使っていたスタジオが使えなくなってしまった。新たな練習場所を開拓しようとするも、億劫になり、練習時間を確保できる。一方ギターの練習が楽しくギターばかり弾いてしまう。やる気が出てくるのを待つ。

2021年4月(個人練1.5h)

引っ越し先で練習場所を見つけた。インスタグラムでバイオリンの動画の投稿を始めた。

この時期は色々と課題が出てきた。
なかなかコンスタントに練習できず頻度にムラがあること(仕事が忙しくなると練習する気にならない)。自分の弾く様子をビデオに撮って確認すると、姿勢が硬くロボットのような動きになってしまっていた。手首や腕のストレッチが必要だと感じた。また一度音程がずれると修正できない(特に移弦時)。一番自分で練習しててまずいなあと感じたのは弾きやすいフレーズだけを弾いてしまう癖があること。要は音を出すことだけで楽しくなってしまい、手癖を繰り返すだけになってしまう時が多い。これは初めてギターを練習したときにもやってしまい、途中で上達が止まってしまった。このような危険性を自覚したので、やはり基本を忠実にと言うか、最低限押さえるべきセオリーを学ぶため、鈴木バイオリンの1巻を愚直にこなすことにした。

相変わらず練習曲は「きらきら星」。

2021年5月(グループ練習2h,個人練習8h)

試しに練習動画をYouTubeに投稿してみた。

この時期は弓の持ち方を試行錯誤していた。とりあえず右手で弓を柔らかく持ちたい。小指と親指も突っ張ったままにせず、弓の上下(アップダウン)に合わせて軽く曲げたり伸ばしたりする。YouTubeで「バイオリン 弓の持ち方」と検索して色んな動画を視て、以下の項目を意識して弾いた。

  • 親指は弓のサムグリップとフロッグの間(凹んでいるところ)に置く
  • 中指と親指は付けたまま
  • 小指は弓の八角形の上面に置く
  • 小指と薬指の間隔を狭くする(広くなると小指が伸びてしまう)
  • 人差し指は中指と間隔を空け、第一関節と第二関節の間をサムグリップに当てる
  • 親指と小指をバネのように伸縮させる
  • ダウン時に指を丸め、アップ時に指を伸ばす(手首を脱力する)

ただし弓の持ち方に気を取られすぎると、真っすぐ弓を下ろすことができなくなり、斜めに弾いたり、駒から遠く離れた箇所を弾いてしまい音が掠れたりした。指の突っ張りをなくすために力を抜くと、弓が弦の上でバウンド(軽く回転)したりもした。

弓は弦に対して押さえつける(上から圧力をかける)のではなく、あくまで上下に弾くものだと頭ではわかったものの力の抜き具合がよく分からなかった。他にも移弦のときに肩の力を抜くこと、肘先の角度、手首の使い方、色んなことが気になっていた。

ちょうどこの時期、メインの練習場所を多目的ルームから音楽スタジオに変えた。弓に松ヤニが残っていると音に影響すると気づき、練習後の手入れをするようになった。

鈴木バイオリンは2曲目の「ちょうちょ」も弾き始めた。

2021年6月(個人練習12h)

練習の頻度を上げることで、バイオリンの音調が安定し、調弦に時間がかからなくなった気がする。練習後は毎回インスタグラムにiPhoneで撮影した動画とメモを投稿するルーティーンができた。コメントやアドバイスをもらえるのが嬉しかった。普段使う練習スタジオが確定。

YouTubeには3本動画をあげてみたが、自分の発信したい内容とその手段が合っていないと感じたのでやめにした。動画編集はあくまで手段であるのにそれが目的化し、時間を使ってしまいそうな気がしたため。

普段の練習を見直し、練習メニューを固定化し、演奏+動画撮影+振り返りのサイクルを細かくすることを決めた。これまでは1時間の練習時間のうち漫然と演奏する時間が30~40分もあった。スタジオに入るとすぐに鈴木バイオリンの楽譜を譜面台に置き、撮影用にiPhoneをセットすることにした。こうして「今から自分は鈴木バイオリンの練習動画を撮る」という雰囲気を作る。だらだらしない。せっかく毎回お金を払っているのだから、時間を大事に使おうと思った。

また1曲弾き終わるごとに撮影した動画を見ながら課題を書き出すことにした。スタジオのホワイトボードを使って「駒と弓の距離が遠い」「肘を引く」みたいに箇条書きで書いた。書き出した課題はインスタグラムにも投稿し、気になった点は練習後にYouTubeを使って対応方法を検討する。かなり意志が強くないと続かないがなんとか習慣化しようとした。

この頃、12月の結婚式でバイオリンを弾くというアイデアを思い付いた。

鈴木バイオリンは4曲目の「むすんでひらいて」まで到達した。

2021年7月(個人練習11h)

ボウイングが安定してきた。弓の震えや音の軋みはまだあるものの、振れ幅が狭まった気がする。
7月9日に管弦楽団のコンサートに行き、プロのバイオリン・ビオラ奏者の演奏を間近で見た。彼らの右手に注目すると、まるでクラゲが海中を泳ぐときの触手のようなストロークだった。非常に細かに激しい動きながらもを力まず、正確に音を出力している。これをヒントとして取り入れ、クラゲをイメージしながらなるべくしなやかに右手を動かすことを意識し始めた。そしてもう一つは右手首を支点にして、指を左右に振ること。これまでは弓のダウン時に丸め、アップ時に開く、を意識していたものの、指の開閉はあくまで結果(指を左右に振るように動かすことで、結果的に弓のアップ・ダウン時に開閉が起こる)なのだと気づいた。クラゲの他にもバイオリンのYouTuberの解説を見ると「ゾンビの手」という表現があった。だからゾンビの手首の先にクラゲがついているイメージ。

鈴木バイオリンは5曲目の「クリスマスのうた」まで進めた。そろそろ「ニューシネマパラダイス」も普段の練習メニューに入れないとと気づいた。鈴木バイオリンはAやEなどの開放弦を使った曲(キーがA)が多いが、ニューシネマパラダイスはキーがB♭。そもそも開放弦以外の音程がとれないと曲として成立しないのではないかと不安になった。試しに弾いてみると、1小節に登場する音符の数が増えると、アップダウンの動きがせわしなくなり、駒から弓が離れ、フォームが崩れることも分かった。

バイオリンを「弾く」以外にも「聴く」=耳を鍛える練習をした方がよいかとも考えた。自分で弾いている最中に音程があっているかどうか、自分では判断できない。録音した後に自分の演奏を聴いてあまりの音程のズレに愕然とすることが何度かあった。

2021年8月(レッスン2h, 個人練習26h)

かなり練習ペースが上がってきた。平日は仕事の後にスタジオに向かった。何度か練習中に眠くなってバイオリンを持ったまま倒れそうになったこともあった。

オンラインレッスン受講を開始した。

この時期は自分の練習方法に限界があるのではと思え、いくつか新しい練習法をいくつか取り入れた。

  • 鈴木バイオリンの曲を半音上げて(A→B♭)弾いてみる
  • iPhoneアプリを使って周波数を測ってみる
  • 自分でピアノの伴奏を弾いて録音し、ピアノの合わせてバイオリン弾いてみる

などなど

半音上げと周波数の記録は中途半端に終わってしまったが、初めてピアノの伴奏に合わせてバイオリンを弾いた時、バイオリンの音の浮き具合に驚いた。毎回正確な音を出力するピアノに対して、どうもバイオリンの音はふわふわしており、人の声またはハーモニカのようだった。このままだと12月の結婚式はまずいなと感じた。伴奏と合わせた練習が必要だと感じたものの、横着してしまい、結局CD音源を使った練習などはせずじまいだった。一定のテンポで弾く練習をするためにも伴奏CDを使えばよかったかなと思う。

鈴木バイオリンは8曲目の「アレグロ」まで進めた。

また8月は雨が降ることが多かった。スタジオに向かう途中でバイオリンが濡れないよう、ザックカバーを掛けてみた。50L~70Lのサイズのカバーはバイオリンケースにぴったりだった。予期せぬところでアウトドア用品の使途が広がり、得をした気分になった。


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2021年9月(レッスン2h, グループ練習1h, 個人練習20h)

ようやく「ニューシネマパラダイス」の練習を始めた。もしかすると着手が遅かったのかもしれない。ただ基礎がないといきなり弾くことはできなかった。どのタイミングで着手すればよかったのか未だに分からない。

9月の後半になってようやく曲全体を通して弾けるようになった。弾けるというか無理やり弾いた感じではあるが。途中で音程がおかしいと思ったら一旦弾き直しが必要だが、しかし気持ちが盛り上がってくると多少音程がずれていてもそのまま続けて弾いてしまいたくなる。焦らず一音一音正しい音程にこだわりたいものの、なかなか自制心を持つことが難しかった。早く弾けるようになりたかった。

音程のブレがまだまだ大きかった。左指のポジションを確定させるため、中指の位置に丸いシールを貼ってみた。しかし粘着が気になりすぐに外してしまった。他には「移弦(ダウン→休符→ダウン)」の箇所があったが、休符の後に「よいしょ」と少し力んで弓を動かしてしまうため、動きが大きくなり、他の弦に当たったりして雑音が出た。円周の長い円を描くように、弦に対する角度を変えず(少し手前に平行移動して)弓の位置を変える。なんか言葉にするとかえってよく分からない。

ビブラートの練習は全弓を使って、1ストローク1スライドで練習してみる。蚊の鳴くような感じでなかなか何をやっているのか感覚が掴めなかった。

徐々に鈴木バイオリンの練習時間が減っていった。

2021年10月(レッスン2h, 個人練習16h)

毎週土曜のレッスンで指摘された事項を中心に、翌1週間の練習内容が決まるというサイクルが確立した。やはり課題を考えてもらうのはありがたい。一人で練習していたときは暗中模索のような気持ちで苦しかった。

10月4週目に結婚式場で、ピアノの伴奏と合わせてリハーサルを行った。思うほど悪い出来ではなかったが、ピアノの前奏から弾き始めのタイミングや、途中でテンポが速くなりすぎないよう、気を付けるべきポイントが出てきた。具体的にテンポを決め、メトロームを使って練習すればよかったと今になって思う。

この時点で「Nuovo Cinema Paradiso」→「Infanzia e Maturità」→「Tema D'amore (Love Theme)」をメドレーで弾くための楽譜が確定した。

スタジオで練習する以外にも、弓を使って指の柔軟をしたり、上手な人の演奏を聞いたり、すきま時間を使ってどんな練習ができるかを考えていた。

2021年11月(レッスン2h, 個人練習10h)

自宅でも練習できるように消音器を購入した。スタジオへの移動時間がもったいなく感じてきた。
なるべく楽譜を細かい部位に分け、音程や音の長さを確実にしていく。もう少し早い時期からこのように練習すればよかったと思う。

ビブラートの練習では以下の事項を意識した。

  • うずまきに向かって第一関節を曲げる
  • 親指・人差し指とバイオリンとの間に丸(空間)を空ける
  • 脱力する
  • バイオリンを握らずに指を添える感覚

流れの中でやろうとすると、ぎこちない感じになってしまう。

11月の2,3週目ごろは、練習していて自分のできないところばかりに目が行ってしまい、なかなか気分が上がらなかった。今から本番までの練習時間は限られていて、上達の幅も知れている。ならばせめて一番いいコンディションで弾きたいと思うものの、あれもできてないこれもできてないと課題ばかりが出てきてしまう。自分は完璧主義なのかしょうもないなと感じながらも、どうやったらもっと練習を楽しめるかを考えていた。

2021年12月(個人練習1h, 本番)

本番を迎えました。

1年間の練習を通して感じたこと

物事を継続させるのにSNSは有効

途中から練習動画をインスタグラムに上げ始めたが、これが練習を続ける良いモチベーションになった。中にはアドバイスをくれる人や褒めてくれる人もおり、見てくれている人に上達した姿を見せたいという気持ちが出てきた。これは自分自身への期待を高め、ある種の責任感を作り出していたのだと思う。バイオリンに限らず、何か物事を継続したいときにSNSを使うというのは効果的だと感じた。

実力以上のものは出せない

演奏の本番はかなり弦が震え、音程も間違い、運指も途中からばらばらになった。着物を着た状態でバイオリンが滑り落ちないような工夫も足りていなかった。しかしこれら全て含め今の実力。言い訳はでない。スポーツの試合でもプレゼンでも試験でも普段以上の力を出すことは出来ない。50%出せたらよしとし、今後の上達に期待する。

いつかやろうと思うことは早くやった方がいい

思えばバイオリンの練習を始めたのも「いつかは弾いてみたいな」という気持ちがどこかにあったのだと思う。結果的に1年練習してみて、まあ音は出るようになったものの、そんな劇的にうまくなるということはなかった。しかし練習を始める前よりも、自分がどういう演奏をしたいのか、どのような音を出したいのか、より立体的で解像度の高いイメージを持つことができるようになった。なるべく自分に保険をかけず、今の実力で勝負した方がいい。現実を知ることで、より願望をクリアにすることができる。だからいつかやろうと思っていることはすぐにやった方がよいのだと思った。

読んでいただいてありがとうございました。