Goodな生活

経済学修士→環境コンサル→データサイエンス

アメリカワインの歴史を変えた1つの審判

映画『ボトル・ドリーム』*1。AmazonPrimeにありました。やっと観れました。
先日のオークラワインアカデミーで紹介されて以来、ずっと気になってたんです。

舞台はカリフォルニア北部のワイン産地、ナパ・バレー。映画の冒頭で映し出される広大なブドウ畑。勾配のある丘に整然と並ぶ緑の木々。夏の北海道を思い出します。この地のシャトーが1976年のワイン品評会パリ・テイスティングで優勝するまでのお話。

当時ワインと言えばフランスでした。アメリカワインが有名になったきっかけがこのパリ・テイスティング。赤白それぞれ10本のワインを審査員がブラインドテイスティングし、持ち点20点で評価する。フランスワインとアメリカワインを半分ずつ。下馬評を覆し、白ワイン部門で優勝したのが主人公一家の経営するシャトー・モンテリーナ。アメリカワイン最大の事件であり、これ以降フランス・イタリア以外の生産国=ニューワールドのワインが世界で注目されるようになりました。

映画の中で印象的だった描写は、アメリカのワイン農家の地位の低さ当時のフランス人がアメリカに抱いていた異文化のイメージです。シャトー・モンテリーナには全くエレガントな雰囲気はありません。メキシコ移民の従業員は差別的な発言を受けるし、大学を中退した元ヒッピー(?)の主人公は「ウッドストックはもう終わった」とぼやく。ワイナリーを経営する主人公の父も寡黙でけんかっ早く、彼らは文字通り言葉ではなく拳を交わして対話する。それも頻繁に。

フランス人からみたアメリカはどうか。パリ・テイスティング主催者のスパリュアはパリ在住。彼は初めてケンタッキーのフライドチキンとアボカドのワカモレ&チップスを口にする。大変訝し気な目をしながらも「案外食べれるな」と納得する表情。案外いけるじゃないか。ワインとも合う。アメリカも捨てたもんじゃない。アラン・リックマンの演技が良い。パリ在住のスパリュアにとっていかにアメリカが遠い異国だったかが分かる。

多少の脚色はあると思うが映画としてまとまりのある脚本でした。ワイン界全体でみるとフランス史上主義からの脱却。シャトー・モンテリーナに焦点を当てると、経営難と家族の崩壊からの再生。次回のワインアカデミーはニューワールドワインなのでこちらも楽しみです。

*1:原題はBottle Shock。この方が事件性があって物語の雰囲気をよく表しているように思う