乱塊法の構造式(モデル)
乱塊法では実験条件が同一であるブロック因子を、実験結果に影響を与える1つの因子だと考える。分散分析の構造式にブロック因子を足せばよい。
一元配置分散分析の構造式は、
ブロック因子を加え、
因子Aとブロックとの交互作用は考えない。
同様に二元配置分散分析の構造式は、
ブロック因子を加え、
因子A、因子Bとブロックとの交互作用は考えない。交互作用が存在する場合は偶然誤差としてに含まれる。
乱塊法の検定精度
分散分析(完全無作為法)では、ブロック因子による変動は誤差分散に含まれ、乱塊法ではブロック因子の変動を切り出すため、誤差分散が小さくなる。ブロック因子による変動が大きい場合、誤差分散が小さくなり、A因子、B因子の効果が検出しやすくなる(F値が大きくなる)。一方、ブロック因子による変動が小さい場合は、誤差の自由度が小さくなり、A因子、B因子の効果が検出しにくくなる(F値が小さくなる)。
数式で表すと、二元配置分散分析におけるA因子のF値の
分母のが誤差分散、同じく分母のが誤差の自由度である。
分散分析(完全無作為法)と比較すると、誤差分散が小さくなる点では検定精度が高く、誤差の自由度が小さくなる点では検定精度が低い*1。一般的に、誤差の自由度を10以上確保できるならば乱塊法が有利だと考える。
*1:変動と同じく、因子の平方和の自由度と誤差の自由度の総和がデータ全体の自由度と一致する。乱塊法を用いるとブロック因子の数-1個の自由度が新たに登場するため誤差の自由度は小さくなる。自由度は誤差分散を推定するときの分母であるため、これが小さくなると誤差分散の推定値が大きくなる。