Goodな生活

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データサイエンスと弦楽器を探究する

『カガクするココロ』初めての演劇

先輩に誘われ、演劇を観に行った。お金を払って演劇を観に行くのは、おそらく初めてだと思う。平田オリザ作の『カガクするココロ』という作品である。先入観を持たずに観た方が良い、と聞いたので、上演までパンフレット等は読まなかった。しかしタイトルの「科学」という言葉とサルの絵が目に入ったため、類人猿による知能の習得や生命倫理の話なのか、とイメージが膨らんでしまった。昔読んだ荻原 浩の「さよならバースデイ」という小説を思い出した。

意気込んで一番前の席に座った。劇は素晴らしく、素人ながら、俳優の方の演技のうまさ、その場に没入させられる感じを味わうことができた。言葉にするのが難しいが、和やかな空気を突如として裂くような、腫物に触るような緊張感が伝播する様子は、まるで空気が生き物のようにうねっているようだった。人の心に踏み込む探求心と人間関係を壊したくない臆病さ、科学者としての知的好奇心と人間である以上守るべき倫理、ミクロとマクロの葛藤こそが、このタイトルに込められているのか、なんてことを思った。

どのキャラクターも個性が立っていた。観終わった後は、今回の俳優陣でないとこの劇は成立しないとも思った。特に2人の俳優が印象に残った。一人は山中志歩さん。心の機微を体現し、一瞬でその場の空気を変えていた。ある時は冷たく人と距離を取る大人、ある時は高校生のような少女にも見え、女性の心の掴みようのなさのようなものを感じた。もう一人は、田崎小春さん。とても爽やかな演技だった。何か自分の中の「女性的」な部分(あるのかどうか分からないけれど)が刺激されるような気もした。美しく、凛と生きよう、という気分になった。

劇場に入る前、近くの喫茶店に寄った。話題を振ろうとそこの大将に『カガクするココロ』を観に来たと伝えると、劇場の場所や時間を丁寧に教えてくれた。この地域に演劇という文化が根付いているのだろう。

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