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【統計検定1級・過去問】統計数理(2019年11月 問4)

[1]検定のサイズ(α)の導出

サイズ(第1種の過誤確率:α)とは、帰無仮説(H_0)が正しいにもかかわらず帰無仮説(H_0)を棄却してしまう確率。棄却域をRとすると、α = P(R|H_0)と表すことができる。

したがって、帰無仮説(H_0:θ = 0)の条件下において、R=\{x: 1 < x < 3\}の範囲で密度関数を積分すればよい。

 {\begin{eqnarray}
α &=& \int_{1}^{3} \frac{1}{π\{1+x\}^2}dx \\
   &=& \frac{1}{π} \left[ tan^{-1} x\right]_{1}^{3} \\
   &=& \frac{1}{π} \left[ tan^{-1} 3 - tan^{-1} 1 \right] \\
   &=& \frac{1}{π} \left[ tan^{-1} 3 - \frac{π}{4} \right] \\
   &\fallingdotseq& 0.148 
\tag{1}
\end{eqnarray}}

条件より、tan^{-1} 3 \fallingdotseq 1.249, π  \fallingdotseq 3.140を用いた。

[2]検定力(1-β)の導出

検出力とは、1から第二種の過誤確率(β)を引いた値。第二種の過誤確率とは、対立仮説(H_1)が正しいにもかかわらず帰無仮説(H_0)が棄却できない確率。β = P(R^c|H_1)と表すことができる。[1]と同様に、

 {\begin{eqnarray}
1-β &=& 1 - P(R^c|H_1) \\
      &=& P(R|H_1) \\
      &=& \int_{1}^{3} \frac{1}{π\{1+(x-1)^2\}}dx \\
      &=& \int_{0}^{2} \frac{1}{π\{1+u^2\}}du \\
      &=& \frac{1}{π} \left[ tan^{-1} u\right]_{0}^{2} \\
      &=& \frac{1}{π} \left[ tan^{-1}2 - tan^{-1} 0\right] \\
      &=& \frac{1}{π} tan^{-1}2 \\
      &\fallingdotseq& 0.352
\tag{2}
\end{eqnarray}}

条件より、tan^{-1} 2 \fallingdotseq 1.107, π  \fallingdotseq 3.140を用いた。

[3]尤度比関数の概形

条件より、
 {\begin{eqnarray}
f_1(x) &=& \frac{1}{π\{1+(x-θ)^2\}} \tag{3}\\
f_0(x) &=& \frac{1}{π\{1+x^2\}} \tag{4}
\end{eqnarray}}
なので、

 {\begin{eqnarray}
λ(x) &=& \frac{f_1(x)}{f_0(x)} \\
       &=& \frac{1+x^2}{1+(x-1)^2} \tag{5}
\end{eqnarray}}


(5)にx=1,3を代入すると、λ(1)=λ(3)=2となる。

次にグラフの概形を表す。(5)を微分すると、

 {\begin{eqnarray}
λ'(x)  &=& \frac{-2(x^2 - x -1)}{\{1+(x-1)^2\}^2} \tag{6}
\end{eqnarray}}


λ'(x)=0のとき、x^2 - x- 1 = 0。したがってx=\frac{1\pm \sqrt{5}}{2}で極値をとる。

また、 \displaystyle \lim_{x \to -\infty}λ(x) = \lim_{x \to +\infty} λ(x) = 1となり、1に近づく。

λ(x)の概形(GeoGebraにて作成)

[4]ネイマン・ピアソンの定理

ネイマン・ピアソンの定理より、所与のサイズαを有意水準とする検定での最強力検定は、尤度比がある一定以上の領域を棄却域とするものである。したがって[1][3]よりR=\{x: 1 < x < 3\}を棄却域とする検定が最強力検定となる。

証明

作成中