Goodな生活

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2月の五十鈴川で水行(みそぎ)をした

みがく講習会

2月13日(土)〜2月14日(日)に修養団(SYD)伊勢青少年センター主催のみがく特別講習会に参加した。昨年にSYD主催のファミリーキャンプにリーダーとして参加させていただき、そのご縁で今回の講習会にお誘いいただいた。

syd.or.jp


みがく講習会は通常3泊4日の行程で行われるらしいが、今回は1泊2日の短縮版。計47人の参加者とともに、SYD伊勢青少年研修センターにて1泊2日の研修に参加する。

講習会の内容

  • 童心業:開会式後、参加者同士で自己紹介を兼ねた簡単なゲームを行う。
  • 講和:伊勢修養団の講師の方の講和を聴く。配布された冊子にメモをとる。
  • 灯火の集い:1日目の夜のみそぎ(水行)に出る前に、ロウソクの火を片手に瞑目する。講師の方のお話を聴き、自分のいのちを見つめ直す時間。
  • みそぎ(水行):伊勢神宮横の五十鈴川に入り、身を清める。研修センターを隊列を組んで出発し、河原でふんどしになる。「エーイ」の掛け声で船漕ぎ体操を行い、「流汗鍛錬」を唱えながら川に入る。入水後は、明治天皇御製による和歌「五十鈴川 清き流れの すえ汲みて 心を洗へ 秋津島人」を詠む。
  • 乾布摩擦:2日目朝は5時50に起床。すぐに廊下に並び、上半身裸になり、手ぬぐいを使って腕や背中を摩擦する。そして大きな声であいさつ。
  • 掃除:朝食前に講堂やトイレを掃除する。
  • 内宮参拝:朝食を摂った後、正装して伊勢神宮の正宮に参拝する。手水を行い、正宮前でニ礼二泊手一礼を行う。

参加の感想~水行を終えて

2日間の研修を通して、最も心が動いた瞬間は1日目の夜の水行であった。

2月にしては外気温が高く、水温も6℃から10℃だったと思われる。入水前には「普段より寒くはないだろう」とか「水の外と中の温度差が激しいから余計寒く感じる」等、これまでに何度か水行に参加された方の話を聞かながら、真冬の夜中に裸で川に入る、というなんとも想像し難い行事の辛さをイメージした。

入水前、心はある種の希望に燃えていた。それは灯火の集いでの講和がきっかけだった。誤解を恐れずに内容をまとめると、自分の生命はこの世の生命の連続によるものであり、自分が喜び生きることで自分の足元や周りを照らすことができるのではないか。言い換えれば生の肯定である。そして自分ならば、世間体やルールに拘らず、人の良さを見つけ引き出すことができる。むしろ人の良さを見つけ引き出す天才なのではないか。ひょっとするとこれが自分が生を受けた理由、使命ではないかと思えた瞬間が確かにあった。そして自分の生き方を見ていてくださいと、声には出さず強く思った。

勇んだ気持ちで五十鈴川に向かい、船漕ぎ体操を終え、いざ川に入る。予想以上に水が冷たい。寒いというより、全身を針で刺されるような痛みを感じ、うまく息ができなかった。肩まで浸かる際に声を出してはいけないと注意を受けていたため、なんとか耐える。冷たさを紛らわすために大声で和歌を詠む。声が枯れた。呼吸のたびに体が震える。川を飛び出そうかと河原の方に意識が向くのを堪え、合わせた両手を見ながら集中しようとした。

しばらくの瞑目の後、最後に一回和歌を詠み、川から出た。わずか10分ほど前に立てた誓いは崩れ去ってしまった。頭の中は早く水から出たいという思いで一杯で、生き方がどうだとか一つも残っていなかった。何とも筆舌し難い、人間の弱さを感じた。と同時にふと顔の上の夜空がとても美ししいことに気付いた。オリオン座は星の粒が大きく、空が近く感じた。こんなにも弱い人間を地球が許してくれているのではないか、とも思われ、思わず涙が出そうになった。

たかが水行、されど水行。きっとこの場所に来なければ気づかなかったこともある。残りの人生をせめて爽やかに生きようと決意を新たにし、伊勢を後にした。

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内宮参道口の宇治橋から眺める五十鈴川