移動平均過程(MA過程)
AR過程と異なり、が現在と過去の誤差項の加重和の線形結合で表される系列を、移動平均過程(Moving Average;MA process)という。1次のMA過程(MA(1))は、をホワイトノイズとして、
両辺の期待値を取るととなり、分散は
2次以降の自己共分散は0となる。AR過程と同様にMA過程もより一般的にはq次の移動平均過程(MA(q))を考えることができ、
平均は。自己共分散は、
となる。MA(q)過程は共分散定常である。
MA過程の具体例
沖本(2010)に従い、(1)のMA(1)過程の挙動を確認する。(1)のうち、パラメータはである。いくつかのパラメータを組み合わせ、以下(a)~(f)のAR(1)過程を生成する。
(a)~(f)のいずれの系列もの周りを変動している。またが正のときの値が大きくなるほど、MA(1)過程が正の自己相関をもつためグラフが滑らかになる。一方、が負のとき、負の自己相関が生じ、の値が-1に近づくほど負の自己相関が強くなるためグラフがギザギザする。