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経済学修士→環境コンサル→データサイエンス

【統計検定準1級】時系列解析(3) MA過程

移動平均過程(MA過程)

AR過程と異なり、y_tが現在と過去の誤差項の加重和の線形結合で表される系列を、移動平均過程(Moving Average;MA process)という。1次のMA過程(MA(1))は、u_tをホワイトノイズとして、


\begin{eqnarray}
y_t =  μ +  u_t + θ_1 u_{t-1}  \tag{1} 
\end{eqnarray}

両辺の期待値を取るとE[y_t] = μとなり、分散は


\begin{eqnarray}
V[y_t] &=&  γ(0) \\
            &=& E[( u_t + θ_1 u_{t-1})^2 ] \\
            &=& E[u^2_t + 2θ_1 u_t u_{t-1} + θ^2_1 ] \\
            &=& σ^2 + 2θ_1 E[u_t u_{t-1} ] + θ^2_1 σ^2 \\
            &=& (1+θ^2_1) σ^2 \tag{2} \\ \\
γ(0) &=& E[(u_t + θ_1 u_{t-1})(u_{t-1} + θ_1 u_{t-2}) ] \\
      &=&  E[u_t u_{t-1}] + θ_1 E[u_t u_{t-2}] + θ_1 E[u^2_{t-1}] + θ^2_1 E[u_{t-1} u_{t-2}] \\
      &=&  θ_1 σ^2 \tag{3}
\end{eqnarray}

2次以降の自己共分散は0となる。AR過程と同様にMA過程もより一般的にはq次の移動平均過程(MA(q))を考えることができ、


\begin{eqnarray}
y_t =  μ +  u_t + θ_1 u_{t-1} + \cdots + θ_q u_{t-q} \tag{4} 
\end{eqnarray}

平均はE[y_t] = μ。自己共分散は、

 {
\begin{eqnarray}
γ(h) &=& 
\left\{\begin{array}{l}
(1 + θ^2_1 + \cdots + θ^2_q) & (h =0) \\
(θ_h + θ_1 θ_{h+1} + \cdots + θ_{q-h} θ_q) & (1 \leq h \leq q) \\
0 & (h > q)
\end{array}
\right.  \tag{5}
\end{eqnarray}
}

となる。MA(q)過程は共分散定常である。

MA過程の具体例

沖本(2010)に従い、(1)のMA(1)過程の挙動を確認する。(1)のうち、パラメータはμ,θ_1,σである。いくつかのパラメータを組み合わせ、以下(a)~(f)のAR(1)過程を生成する。

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MA(1)過程から発生させたデータ

(a)~(f)のいずれの系列もμの周りを変動している。またθ_1が正のときθ_1の値が大きくなるほど、MA(1)過程が正の自己相関をもつためグラフが滑らかになる。一方、θ_1が負のとき、負の自己相関が生じ、θ_1の値が-1に近づくほど負の自己相関が強くなるためグラフがギザギザする。