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経済学修士→環境コンサル→データサイエンス

【統計検定準1級】時系列解析(2)AR過程

自己回帰過程(AR過程)

過去の観測値に依存する同一変数が従う過程が自己回帰過程(Autoregressive;AR process)である。現在の値(t)を過去の値(t-1,2,\cdots)に回帰させ、p期前までの値に回帰させる場合は「p次のARモデル」と呼び、AR(p)と表記する。AR(1)は、


\begin{eqnarray}
y_{t} =φ_1 y_{t-1}+ ε_{t} \,\, (t=1, 2,\cdots ,T)\tag{7} 
\end{eqnarray}

(7)を逐次的に過去に向かって解くと、


\begin{eqnarray}
y_{t} &=& φ_1 y_{t-1}+ ε_{t} \\
       &=& φ_1(φ_1 y_{t-2} + ε_{t-1}) + ε_{t} \\
       &=& φ_1^{2} y_{t-2} + φ_1 ε_{t-1} + ε_{t} \\
       & \cdots & \\
       &=& φ_1^t y_{t_0} + \sum_{j=1}^{t}φ_1^{t-j} ε_{j} \tag{8}
\end{eqnarray}

(8)の最後の等式では、y_{t_0}からy_tへの影響はφ_1^{t}であり、|φ_1| < 1であれば、過去から現在の値への影響は時間差が開くほど小さくなり、|φ_1| = 1であれば時間にかかわらず一定(符号を変えながら一定)、|φ_1| > 1であれば過去にさかのぼるほど現在への影響力は大きくなる。|φ_1| < 1の場合、AR(1)は共分散定常となる。

一般的にAR(1)過程は、(7)に定数項を加え、


\begin{eqnarray}
y_{t} =c + φ_1 y_{t-1} + ε_{t} \tag{9} 
\end{eqnarray}

AR(p)過程は、


\begin{eqnarray}
y_{t} =c + \sum_{i=1}^{p}φ_i y_{t-i} + ε_{t} \tag{10} 
\end{eqnarray}

と表す。AR(p)過程が共分散定常であるのは、p次多項式


\begin{eqnarray}
1- φ_1 z - φ_2 z^2 - \cdots - φ_p z^p = 0 \tag{11} 
\end{eqnarray}

のp個の解の絶対値|z|が1より大きくなるとき(|z| > 1)。(11)を変形すると、


\begin{eqnarray}
φ_1 z + φ_2 z^2 + \cdots + φ_p z^p = 1 \tag{12} 
\end{eqnarray}

となり|z|が大きいとき|φ_i|は小さくなり、AR過程は動きがおとなしくなり定常になる、というイメージ。

AR過程の具体例

沖本(2010)に従い、以下のAR(1)過程の挙動を確認する。


\begin{eqnarray}
y_{t} =c + φ_1 y_{t-1} + ε_{t}, \,\,ε_{t} \sim \mathcal{N}(0,σ^2) \tag{13} 
\end{eqnarray}

(13)のうち、パラメータはc,φ_1,σである。いくつかのパラメータを組み合わせ、以下(a)~(f)のAR(1)過程を生成する。

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AR(1)過程から発生させたデータ

上表のうち(e)(f)は共分散定常ではない。(e)はy_{t-1}の係数φ_1が1であり、単位根過程と呼ばれる。(f)はφ_1が1より大きく発散的な過程となっている。(c)(d)の係数φ_1は負の値であり、平均と比べて大きな値と小さな値を交互にとるため、上下の変動が激しい。(a)(b)を比べると、(a)の変動はより緩やかになっている。φ_1の符号が正であり、その値が大きいほど、緩やかな挙動となる。