Goodな生活

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2017年、新卒で民間シンクタンク入社。学んだこと、考えたことの記録。

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【読書】モサド、その真実 世界最強のイスラエル諜報機関

きっかけ

映画『ミュンヘン』を観たこと。先日天満橋の古本屋で100円で購入。

メモ

モサドが指導者によって濫用された例はない。民主主義政治が徹底しているため。(イスラエルの民主主義確立体制は超A級、ある意味ではアメリカ以上とさえ言える。二人のイスラエル人が政治の話をすると三ツの意見が出、四ツの政党が出来ると言われる所以である)

1950年代の終わりごろからナセルは対イスラエル攻撃にそなえてミサイルや戦闘機の開発に全力をそそいでいた。その仕事のため白羽の矢が立てられたエジプトに招待されたのが、ヒットラー政権下で武器開発に取り組んでいた科学者達であった。(中略)数百人の元ナチ科学者が高給と安全を求めてナセルの招請に応じたのである。

イスラエルは極端に戦略的深さに欠けている。67年の六日間戦争まではイスラエルの東の端から地中海まで最も長い距離が36キロしかなかった。その中の都市を攻撃するにはミサイルや戦闘機は必要ない。

大兵力をもつエジプトやシリアと違って予備軍が軍隊の中心となるため、彼らが兵役に服する時間が長ければ長いほどイスラエル経済の生産性は落ちる。イスラエルが戦う戦争は、第一はできるだけ早く戦いを終結すること。長期戦になったら国が破綻してしまうからだ。第二はできる限り敵地で戦うこと。国自体が小さく戦略的深さに欠けるためだ。

本文中で何度か登場する「戦略的深さ」とは攻防の要となる地理的な奥行きの意味か。

ザミアーのもとでのモサド諜報機関としての機能は一時的にではあるが低下した。そしてこの機能の低下はモサドに対する世論の集中批判となって表れた。その良い例が72年のミュンヘン・オリンピックで11人のイスラエル人選手が虐殺された時である。あのようなことが起きることは十分に予想され、ある程度の情報も入っていた。しかし、モサドは虐殺を防ぎきれなかった。

老若男女を問わず一人一人のイスラエル人が何が何でも生き残ってやるという自覚と執念を感じさせるのだ。日本人とは全く正反対という印象を受ける。この意味でイスラエルにいる方が日本にいるよりも安全と言えるかもしれない。生存への自覚がない国ほど危険なものはないからだ。

感想

常に近隣諸国からの外圧にさらされてきたたことが、モサド諜報機関としての能力の高さの理由だと分かる。過去にはナチスホロコーストにより多数の同胞が死に至り、現在もなお反イスラエルを掲げるアラブ諸国に囲まれており、いつ国家生存が危ぶまれてもおかしくない。またイスラエルの国土は狭く、人員も限られるなど、資源が豊富な訳でもない。そのような制約下において、国家を存続させるための方法が情報の活用(諜報)であった。政府機関として諜報活動を行うことに、国民もある種のオーソライズを与えている。それには兵役義務や、家屋新築時のシェルター設置義務等、市井の中に国防を意識させる様式が多々あるからであろう。日本は良くも悪くも平和なのだろう。

参考

ミュンヘン Munich (字幕版)

ミュンヘン Munich (字幕版)

  • 発売日: 2015/09/21
  • メディア: Prime Video