Goodな生活

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2017年新卒で民間シンクタンク入社。学んだこと、読んだもの、考えたことの記録

【読書メモ No.9】アメリカ民主党の崩壊2001-2020

アメリカ民主党の崩壊2001-2020

アメリカ民主党の崩壊2001-2020

きっかけ

2020年2月、先輩に勧められてKindle版を購入。

メモ

オバマ新政権は、イラク戦争は成功だったとする解釈を前提にした外交を開始した。それがヒラリー外交(アラブの春外交)である。アラブ諸国レジームチェンジを念頭に、各地で民主化運動を支援した。(中略)シリアのアサド政権は、中東各地で広がる反政府運動の後ろに外国勢力の暗躍があることを見て取り、全国民が結束して反政府運動に抵抗しなくてはならないと訴えた(2012年1月10日)。

民主党の差別を知る物は「弱者に優しい政治」を訴える民主党の政治家を信用しない。彼らの主張は権力を握るための方便に聞こえる。「弱者に優しい政治」を訴える政党は、「弱者には弱者のままでいてもらわなければならない。そうしなければ権力基盤を失う」という矛盾を抱える。黒人大統領オバマが誕生しても出身地シカゴ市サウスサイドの黒人層の暮らしは一向に改善しなかった。(中略)連邦政府からの補助金は、権力に近い組織が巧妙に吸い上げてきた。貧困であるからこそ補助金がつく。そうした組織が民主党政治家を「育てて」きた。貧困と暴力の継続が権力維持の源泉となった。

トランプ政権では、保護貿易政策へのシフトと中国への高関税政策で国内景気が活性化し、黒人失業率は史上最低の5.5%となった。ボルチモアの貧困と腐敗に対してイライジャ・カミングスは責任を持つべきだと発言した。メディアはそれを人種差別的だと批判した。しかし、ボルチモアの黒人層が、ほんとうの思いを代弁してくれたとトランプのコメントを評価する。黒人が黒人政治家を批判することは簡単ではないからである。

感想

読んでよかった。

民主党政権が自らの権力維持のため、貧困層や社会的弱者を"発明"し続けていたのかが分かる。発明された問題は、正義や秩序の名の下、小国への干渉や軍事企業への発注という形で解決されていく。問題があるから、それを是するのではない。人々を熱狂させる正義の物語を綴るには、問題という大義名分が必要なのである。

問題は、必ずしも権力者側から提供されるものではない。貧困をなくそう、社会的弱者への差別をなくそう、多様性を許容する社会を作ろう、といった物語を人々も待ち望んでいる。地球温暖化を防ごうという話もこの部類に入る。人々の正義や善意が、問題を解決する政治に正当性を与える。つまり権力者と一般人が合作で貧困を発明し続けている。

と、政治の問題のようなものを指摘しても仕方がない。我々にできるのはこの壮大なショーをどのように楽しむかではないか。作者も本文で「この本は2020年の大統領選の観戦マニュアル」だと言っている。