極限の一意性の証明について。極限とは、数列の収束先を表す。2通りの証明を考える。
数列の収束先が2つあると仮定し、矛盾を導く(背理法)
次元実数空間における数列がある値に収束するとき、が同時にではないに収束することの矛盾を示す。
(1)が成立するとき、 を満たす、すべての について、 が成立する。
条件より。三角不等式を用いて以下を表す。
(4)の右辺では、どれだけ小さな正の数 が与えられたとしても、がにならない限りは、はに収束せず、(2)は成立しない(矛盾)。逆に言えばがに収束するのはすなわちが成立する場合のみである。したがって数列がある値に収束するとき、その収束先は一意である。
数列の収束先が2つあると仮定し、同一であることを示す
数列が2つの値に収束すると仮定し、その収束先が同一であることを示す。
次元実数空間における数列がある値、に収束すると仮定する。
(5),(6) が成立するとき、
を満たす、すべての について、 が成立し、
を満たす、すべての について、 が成立する。
ここでとし、 を満たす、すべての について、
が成立する。したがって収束先は一意() となることが示された。
参考文献
- 作者:田島 一郎
- 発売日: 1978/05/01
- メディア: 単行本